すぐにかけつけてくれた鍵屋さん

2人の子供達が、まだ小学生の時に起こった事件です。私は離婚して、小さなアパートに子供達と3人で暮らしていました。私はフルタイムで働いていたので、子供達は学校に行く時、必ずアパートの鍵を持って行きました。私の帰宅時間が遅くなっても、子供達は家できちんと留守番をしているのが常で、私はこのことで心配をすることはまずありませんでした。 ところがある日、たまたま帰宅がいつもより2時間程遅くなってしまった時、アパートの階段のところで、子供達が途方にくれていたのです。当時は携帯電話などなかったので、お互いに連絡を取り合うことができなかったのです。どうして外にいるのかと聞くと、たまたま2人とも鍵を持って行くのを忘れたから、家の中に入れなかったというのです。やれやれ、こんなことが起こるとは、と鍵穴に鍵を差し込もうとして、鍵が入らないことに気づきました。上の娘が、どうにかして家の中に入ろうとして、髪をとめていたヘアピンを鍵穴に差し込み、空き巣さながらに、ああでもない、こうでもないとやっているうちに、鍵穴の中にピンの破片が入ってしまい、私が鍵を持っていたのにも関わらず、もうその鍵が使いものにならなくなっていたのです。私は怒りがこみあげて来るのを抑えて、まず不動産屋に電話しました。そして、鍵屋の電話番号をいくつか教えて頂きました。1件目の鍵屋は、夜なので、もう行けないということでした。そして2件目の鍵屋が「大丈夫ですよ。今から行きますよ」と言ってくれたのです。待つこと数十分、待ちに待った鍵屋さんがやってきました。これまで、鍵屋とは縁がなかった私ですが、鍵屋さんに対するありがたみ、尊敬の念が、沸々と湧いてきました。鍵穴が壊れてしまっていたので、すべて交換することになり、鍵屋さんから2万数千円かかると聞かされた時は、さすがに子供のヘアピンのせいで、大枚が吹っ飛ぶとショックでしたが、家の中に入るためには仕方ないと、すべての交換をお願いしました。鍵屋さんは、すぐに修理をし、新しい鍵を手渡してくれました。そして、私達家族3人は、やっと家の中に入ることができたのです。 もしこの鍵屋さんが来てくれなかったら、私達は野宿するしかありませんでした。今でも当時のことを思い出すと、夜なのに車を飛ばして駆けつけて下さった、親切な鍵屋さんの対応に、いくら感謝しても感謝しきれない気持ちです。本当にありがとうございました。

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